この記事を読み進める前にANAカード前編として全体像を説明していますので、まだ読んでいない方は先に読んで頂けると理解が深まると思います。
今回の記事では、各自の決済額・航空券購入額等からマイル等の収益と年会費等の支出をシミュレートし、全ラインナップから各自のライフスタイルに最適な一枚を選択できるように徹底的に解説します。
マイルの金銭的価値
コストパフォーマンスの観点で最適な一枚を選択する場合、まずマイル価値を把握する必要があります。
カード入会で何マイルもらえるとか、カード決済100円=何マイルだとかを前回記事でもツラツラと書いてきましたが、マイルの価値とは一体なんなのでしょうか。
よくマイル関係のブログでは1マイル=2円以上などと言われますが、実際のところどうなのかを考えます。
マイル価値の検証
年末年始のお休みにハワイ・ホノルルで豪華に過ごすとしましょう。
ここは奮発して総二階建の大型機A380フライングホヌのファーストクラスで東京(成田)⇔ホノルルを往復します。
この場合の有償航空券は832,790円(運賃826,000円+諸税等6,790円)です。
対してマイルを利用した特典航空券の場合の必要マイル数は往復で129,000マイルです。
諸税等は特典航空券だとしても徴収されるので、運賃と必要マイル数を比較していきます。
826,000円÷129,000マイル=6.40円
この6.40円がこの場合のマイルの金銭的価値となります。
この例はかなり極端な例とは言えますが、行先・時期・クラスによっては1マイル=10円を超える場合もあります。
一般的にはビジネスクラスでアメリカ・ヨーロッパ方面に行く場合で1マイル=4〜8円程度を中心に、アジア方面だとやや低めに出るのが通例です。
ではなぜ多数あるマイレージ系ブログで1マイル=2円と言われるのでしょうか。
それは、マイル価値が上がらない国内線特典航空券の存在があるからです。
次の例はハイシーズンに東京(羽田)→沖縄(那覇)の片道の旅程です。
国内線特典航空券の場合は諸税等は別途徴収されませんので、有償航空券の総額と必要マイル数でマイル価値を算出します。
9,310円÷10,500マイル=0.89円
どうでしょう、1マイル=1円を下回ってしまいます。
これではマイルを使った方が損をするので有償航空券を購入した方が良くなってしまいます。
1マイル=2円と計算しているブログの著者の真意はわかりませんし先人の偉大なブログにケンカを売る気も毛頭ないのですが、2円と断定する事はやや無理があると言わざるをえません。
ただ、なんかしら指標がなければ各場面でコストパフォーマンスを把握できませんから、おそらく国際線・国内線双方を(1円以下の場合を除いて)ざっくり平均するとこの辺りといった感じで便宜上1マイル=2円としていると思われます。
ANAスカイコインの存在
ANAスカイコインは1ポイント=1円でANAグループでの支払いに利用できるポイントです。
言い換えればANA商品券といった感じのもので、コードシェアを含むANA航空券や燃油サーチャージの支払いにも使えます。
このスカイコイン、ANAマイルから交換することができます。
その場合、ステータスやANAカードのグレードによりますが一度の交換が10,000マイル以上であれば1.2倍から1.7倍で交換ができます。
最高の交換率を得られるのは50,000〜200,000マイルを一度に交換した場合でして、個人の各属性によって交換レートが変化します。
実はこの倍率がキモで、先程の例で挙げた1マイルが1円を下回る様な場面で所有マイルをスカイコインに交換して航空券の手配に充てれば、ステータスメンバーなら1マイル=1.7円、ANAカードがゴールド以上またはSFC会員の場合1マイル=1.6円を下回る事は絶対に無い事になります。(間違って現金・クレジット等で決済しなければ)
他にANAカード一般なら1.5倍などありますが、当ブログは修行ブログですからSFCを目指しゴールド以上のグレードのカードを保有している、もしくは既にステータスメンバーである前提に立ち、以下の通りの結論が出せます。
ステータスメンバーのマイル価値は1マイル=1.7円以上
ANAゴールドカード以上またはSFC保有者は1マイル=1.6円以上
ここで問題なのは上限が定められない点ですが、クレジットカードのコストパフォーマンスを検討する際には最低価値が定まれば問題無いと考えられるので、当ブログでは上記(黄色枠内)を1マイルの価値とします。
1マイル=2円の様なぼんやりとした値ではなく、絶対に下回る事の無い値を最低マイル価値とした方が以下で説明するクレジットカード選択や、航空券手配時に迷うこともなくなります。
必須ANAカード
まず先程の前提(1マイル=1.6円)を踏まえて、以下の7枚は絶対に発行すべきカードと言えます。
年会費 | |
ANA VISA 一般カード | ¥1,127 |
ANAマスター一般カード | ¥1,127 |
ANA JCB一般カード | ¥825 |
ANA To Me CARD PASMO JCB | ¥825 |
ANA TOKYU POINT ClubQ PASMO マスターカード | ¥826 |
ANA VISA Suicaカード | ¥826 |
ANA VISA nimoca カード | ¥826 |
これらカードたちは毎年カードを継続した際に1,000マイルもらえるにも関わらず割引を活用した年会費が825〜1,127円(初年度無料)と激安であり、バイマイル(お金でマイルを購入する行為)と考えても1マイル=0.825〜1.127円というバーゲンプライスです。
年会費最安のカードの場合825円で1,000マイルを買って1,600円相当の価値で使用する
この様なイメージですから、クレジットカードとしての機能・ベネフィットを完全に無視してもただのマイル製造マシンとして外せないと言えます。
このカード構成で毎年7,000マイル増幅し、その増幅器の代金が年額6,382円です。
しかもこの増幅器は初年度は無料です。
決済額別 理想カード構成
修行等でスーパーフライヤーズカード(SFC)発行を検討している場合は選択の考えが異なってくる部分があります。
その辺りは別記事で解説していますので併せてご覧ください。
言うまでもありませんが、クレジットカードは見栄を張る為のものではありません。
自身の決済額と年会費、各カード付帯のベネフィットを勘案して最適な1枚をチョイスしなければいけません。
ただし、ANAカードの場合は前述のマイル製造マシンとしての側面を持っていたり、カードグレード等によってフライトボーナスマイルの付与率が変化したり、さらにSFCを狙う前提だと選択肢が変化する場合もあるので、理想の1枚を選択する難易度は非常に高いのです。
決済額が0円なら上記の必須カード7枚の発行だけで問題解決なのですが、いずれかのANAカードで決済もする前提で考えると、決済カードをどのカードにするかを検証しなければいけません。
決済額の内ANA利用額が0%
ANAカードなのにANAでの利用が無いと言うのも違和感がありますが、航空券会社手配の出張族や絶対に特典航空券でしか搭乗しない真の陸マイラーならあり得る状況と言えます。
ANA以外(街での決済)の決済額別に年会費他とカード利用ポイントの還元額を元に理想のカードを見つけ出します。
1マイルの価値を1.6円とし、マイル移行手数料を2年に一度支払う前提条件で算出しています。
還元率等スペックが同等でJCB一般やTo Me CARD PASMO JCBより年会費が高いVISA・マスターの一般カード・交通IC一体型カードは除外されます。
年会費差が一般カードで302円、交通IC一体型カードで1円の違いなので、国際ブランドの好みで選択してもさほど問題はありません。
上のグラフを見ると、343,750円まではマイル移行手数料を支払わないJCB一般やTo Me CARD PASMO JCBがお得と言うことになります。
そして、それ以上になると移行手数料分を加味しても得られるマイル数が増大する効果で、移行手数料を支払う方がよくなってきます。
ただこの領域の場合、VISA・マスターの一般カードの場合移行手数料の差が1,100円となるのでVISA・マスターはやや選択しづらくなってきます。
そして、決済額が8,753,125円で還元率1.5%のVISAプラチナが追いつき、その上の世界では抜き去って行きます。
必須7枚の内VISA一般をVISAプラチナに置き換えた7枚構成がベストになります。
決済額の内ANA利用額が100%
上記と完全に逆のパターンで、日常の決済で別のカードで決済し航空券等だけをANAカードで決済する場合は、街でのカード利用と還元率が違ってくるので様相が違ってきます。
それらを踏まえ理想値を探ります。
算出条件は上図と同じ。
航空券等の決済のANAカードを利用する場合は還元率が違ってくる為、登場するカードの顔ぶれも様変わりです。
左下の領域は細かくて判別しづらいので後述しますが、まず4,920,843円より上の世界ではAMEXプレミアムがANA還元率の大きさを生かし年会費のディスアドバンテージを解消します。
AMEXプレミアムとANA還元率が同じで年会費が5,500円高いダイナース・プレミアムは現れませんでしたが、こんなボリュームの決済額の世界で生きる人には年会費差は気にならないかもしれません。
その場合、好みやその他のベネフィット等で国際ブランドを選択して良さそうです。
その下の領域、2,275,000円から4,920,843円までのエリアではAMEXゴールドが登場します。
ゴールドカードの中では群を抜くANA還元率が功奏しました。
その下2,275,000円から下ではAMEX一般の出番になります。
これは上のグラフの左下エリアを拡大したものです。
グラフが別れてしまって恐縮ですが、先程の2,275,000円から下でAMEX一般が現れ始めるポイントは687,500円からです。
すなわち、687,500円から2,275,000円までがAMEX一般となります。
653,125円から687,500円までの極狭い範囲でJCBゴールド・To Me カードゴールドです。
流石に範囲が狭すぎて毎年の決済をピタッとこの範囲に収めるのは難しそうです。
その場合は若干妥協して上のAMEX一般かJCB一般・To Me カード一般(手数料払)に目を向けても良さそうですが、特にTo Me カードゴールドは絶対にこの範囲に収められつつ東京メトロ利用頻度の高い人にはバッチリハマるカードと言えます。
343,750円から653,125円までの範囲で最善はJCB一般・To Me カード一般(手数料を払う)になり、343,750円より下の領域ではJCB一般・To Me カード一般(手数料を払わない)となるのは、金額の値は違いますがロジックは街でのカード利用100%の時と同じ考えになります。
これらの場合、必須7枚の内1枚を決済カードに決める、もしくは置き換えることになり、7枚構成という事は変わりません。
AMEX一般・AMEXゴールドが最適となる決済額に当てはまる場合は必須7枚+AMEXどちらかとなります。
ANA決済利用割り合い別
ここまでANAでのカード利用が0か100の極端な2パターンで算出しました。
メインカードを他のカードにしていたりする場合は充分にあり得る話ですが、通常の実生活ではそんな極端な状況もなかなかないと思います。
ここでは年間決済額の内、ANA利用分の割合で理想決済カードがどう変化するのかを見ていきます。
縦軸が年間総決済額で横軸は総決済額のうちANA決済の割合です。
もっと細かく求めれば、先程のJCBゴールドなども現れるのですが、ここではある程度の傾向が判断できれば良いと思います。
例えば、年間総決済額が3,000,000円でその内20%がANA決済だった場合はJCB一般、30〜70%ならAMEX一般、80%以上ならAMEXゴールドになります。
以下の例の様な年会費の差額がわずかと考えられる場合は別な国際ブランドを候補にすることもできるでしょう。
- JCB一般とVISA・マスター一般と交通IC一体型一般
- ダイナースプレミアムとAMEXプレミアム
搭乗ボーナスマイルを検討する
特典航空券以外で飛行機に搭乗した場合はフライトボーナスマイルが付与されます。
このボーナスマイルはカード券種によって付与率が変わり、しかも〇〇万円の航空券だから□□マイルという様にパターン化できません。
実態としては、どのカード保有者がいくらの航空券でどれだけの距離をフライトしたかで算出できなくは無いのですが、各自のフライトパターンや運賃区分の組み合わせは実質無限であり、航空券代とフライト距離に定数が求められずカード選択の最大の足枷となるのです。
理想の決済カードまとめ
ここまで見てきた通り必須カード7枚を発行する前提で、7枚のうち1枚をゴールドやプラチナを選択した方が有利な場合が出てきました。
ボーナスマイルに関してはカード選択の重要な指標ですが上述の通りで「わかりません」が結論になってしまいます。
ただ流石に後味が悪く、せっかく読んでくださる方にも申し訳ないので、本記事下からコメント、もしくはTwitterのDMで以下の情報をお知らせください。
- 年間総決済額
- 内ANA決済割合
- 年間獲得予定フライトマイル(基本区間マイル×運賃倍率)
フライトマイルについてはこちらで計算できます。(左側二段目の数値)
そんなに大量のお問い合わせが殺到するとは思えませんが1日数件程度ならベストカードを回答できると思います。
この項目では、SFCを発行しないパターンで検証しました。
「修行=SFC」と考える人も多く混同しがちですが、毎年ダイヤモンドステータスを獲得し続ける人もいます。
こういった人達は「修行=ステータス」でありSFC発行がゴールではありません。
それでもANAカードを発行するメリットは大きく、発行するべきと断言できます。
ベストのカード構成の参考になれば幸いです。
SFC候補カードの選定
ここからはSFC発行を前提に、これからANAカードを選定する場合はカード構成の考え方が変わってきます。
SFC発行を前提とした場合のカード構成の考え方は以下の記事をご覧ください。
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